あおり運転のガラケー女間違いはなぜ起こった?インスタ特定と拡散の心理とは

あおり運転の犯人の男と一緒にいた”ガラケー女”について、本人とは全く別人の女性が間違って犯人扱いされ、ネットにデマ情報を拡散されるという被害にあわれました。被害女性は弁護士を立てて法的責任の追及に向けて会見を開くことに。
なぜ間違った情報がここまで拡散してしまったのか、またなぜ人々はネットの情報を信じ、確信もないままこの女性に対して必要に誹謗中傷をおこなってしまったのか、今回の事件で注目されたネットの恐ろしさやそれに陥ってしまう人々の心理にスポットを当ててみたいと思います。
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事件の発端はインスタのフォロー
2019年8月、日本中を驚かせる動画が流れました。そこには高速道路上で必要にあおり運転をし、車の進路を塞いだ上で路上に出て被害者の男性に必要に暴力をふるう男の姿とその一部始終をガラケーで撮影する同乗者の女の姿が。被害男性は顔を何度も殴られ、モザイクが入っていても出血がわかるようなケガを負わされていました。あおり運転については被害者が死亡する事件もあり、ここ数年心配するドライバーも増えていましたが、それでもここまでの被害がでるのは衝撃的。連日ニュースで取り上げられ、同じ人物が各地で同じようにあおり運転をしていた形跡があることから警察も全国指名手配し、あおり運転男を追っていました。
最初の頃、まだ容疑者という段階であったこともあり、動画の顔にモザイクがかけられていましたが、この頃からネットでは「あおり運転の犯人捜し」が始まっていました。しばらくしてあおり運転男の実名と顔写真が公開されると待ってましたとばかりにすぐにネット上でSNSも特定され、インスタ写真もどんどん拡散されていきました。
それと同時にネットで特定合戦が始まったのが、加害者の車に同乗していたガラケー女。
ガラケー女については容疑が定まっていなかったこともあり、加害者男性の実名と写真が公表されてからも謎のままでした。そこでネット上では加害者男性の繋がりからガラケー女を特定する動きがでてきたのです。今回、ガラケー女と間違えられた女性は、加害者男性が一方的にインスタをフォローしていただけにも関わらず、「身に着けている帽子やサングラス、洋服が似ている」という理由だけで、ある日突然犯人扱いされることになってしまったのです。
女性は勝手にフォローされていただけで加害者男性とも全く面識がなかったので、ある朝突然ガラケー女として誹謗中傷を浴びることになって大変困惑したようです。
「ガラケー女」として実名、顔写真が拡散された
女性はガラケー女としてTwitterで実名と顔写真を晒されました。この時、ガラケー女についてはまだ警察やマスコミからの正確な報道はなかったため、世間の注目を一気に集めてしまい、瞬く間に拡散。リツイート機能で雪だるま形式に間違った情報が流れてしまったのです。女性は知人からこの事実を知らされ、自身のインスタでも事実無根であることを訴えましたが、犯人と決めつけられて一方的に誹謗中傷を浴びることに。また実名や会社まで特定されてしまったことでネット上だけでなく、会社へのクレームも入るようになり計り知れないほどの精神的苦痛を味わうこととなりました。
結局、本物のガラケー女は警察によって抑えられ、実名と顔も公表されたのですが、一度出回ってしまった誤情報は訂正するのもなかなか大変です。一旦ネットに晒された情報を完全に消し去ること、訂正することはかなり困難でしょう。ガラケー女と間違われたしまった女性が会見を開いたのは精神的苦痛を受けたことの責任追及はもちろんですが、拡散されてしまった情報について改めて誤解を解きたいという思いもあるのではないでしょうか。
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あおり運転のガラケー女デマ情報はなぜ拡散された?
今回のように、個人の名前や顔写真を晒されるようなネット上の人権侵害はここ10年ほどで3倍近く増えているそうです。ガラケー女に間違えられた女性も間違った情報であるにもかかわらず、個人情報を晒され拡散され、誰ともわからぬ人々から執拗に誹謗中傷を浴びることとなってしまいました。なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。そもそも見ず知らずの人の個人情報を拡散したり、自分と全くかかわりがないのに誹謗中傷をするのいったいどんな心理が働いているのでしょうか。
1.匿名性が責任感を薄れさせる
ネット上ではお互いに実名や名前を明かさず、匿名で情報をやり取りすることができます。そのため、実生活よりも発言や行動の責任を感じにくいところがあるようです。今回のように確実な情報でないにも関わらず、デマを発信してしまうのは自分自身の責任を感じにくいが故の安易な行動と言えるのではないでしょうか。情報を流す際に、自分の実名や顔写真を公表するわけではありませんし、広いネットの中の話なので、ほんの些細な事と感じてしまうのかもしれないですね。
2.正義感という名のストレス解消
「ガラケー女が許せない!」「早く自首してほしい!」など、正義感から便乗してしまったという人もいるようです。しかし、これは明らかに本心なのでしょうか。もちろん本人は正義感をもってとった行動かもしれませんが、本当に何とかしたいなら警察に情報提供すればよいですよね?(そういう方もいらっしゃったかもしれませんが)なぜわざわざネット上で、本人に誹謗中傷を浴びせる必要があるのでしょうか。
口汚く罵る人たちの中には普段はほのぼのとした家庭の様子や、自分の子供たち、友達との楽しい時間を発信している方も多かったようです。そういった方の一部のお話では、「自分もあおり運転にあったことがあって許せなかった」「自分も被害にあうかもしれないので早く捕まってほしかった」などの意見があるようです。一見これらは”悪気がなかった”というようにとらえられますが、実際は自分自身が過去に感じた不快な気持ちや自分も同じような被害にあうかもしれないという不安な気持ちなど、自分自身のストレスをぶつけているだけに過ぎないですよね。実社会であれば、面と向かって人に文句を言うのはかなり勇気がありますが、ネット上では匿名性もあり言いたいことが簡単に言えてしまう。そういったことも重なって助長してしまうのかしれませんね。
3.最新の情報を提供できる優越感
みんながまだ知らないことを自分が発信できるというのは気持ちの良いものです。今回はそんな気持ちの高まりから情報を拡散させてしまった方もいたようです。まだ警察も知らない、マスコミも抑えていない情報を自分が発見した!と嬉しくなってしまったのかもしれませんね。本来は情報の信ぴょう性をしっかりと確認しなければ危険なことであるにも関わらず、スピード重視で発信してしまったのでしょうか。。。ネットは最新の情報が常に発信されていますから、のんびりしていたら先を越されてしまうという焦りの心理もあったのかもしれませんね。
4.無関心と集団心理
しかし、一番の拡散の原因は”みんなの無関心”かもしれません。今回Twitterで瞬く間に間違ったガラケー女の情報が拡散されてしまいましたが、「ネット上だったら匿名だし」「犯人絶対許せない」「早く皆に教えてあげなくちゃ」とわざわざ考えてリツイートした人ばかりではなかったはずです。リツイートはボタン一つで簡単にできてしまいます。何も考えず、流れてきた情報をざっと読んで「そうなんだ~。みんなもやってるし拡散しとこう」と安易にリツイートしてしまった人がほとんどだったかもしれません。ガラケー女の情報に関心があって拡散したようにも捉えられますが、本当に関心があれば情報の真意にも無関心ではいられないのではないでしょうか。
実際に「正しい情報なのか?」「そもそも公表されてないのに実名出しちゃダメでしょ」と拡散を止めた方もいたはずです。実際ガラケー女の情報は誤情報で、間違えられた女性はかなりの精神的苦痛を受けることになってしまいました。リツイート一つでその後どんな影響がでてしまうのか、そこまで考えることが必要ですね。
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まとめ
ガラケー女と間違えられた女性は今後責任追及をしていく方針だそうです。すでに女性に対して謝罪されている方もいらっしゃるようですが、ネットでの安易な行動には気を付けたいものですね。
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